みなさんは診療放射線技師として、キャリアアップのことをどのようにお考えですか？
診療放射線技師の免許をとって、次に各種資格や認定をとることがキャリアアップであると考えられているのでしょうか？
確かに「診療放射線技師 キャリアアップ」というキーワードでググると大学院のことや資格、認定のことが解説されたサイトが無数にでてきます。しかし、よく考えてみてください。これらの資格や認定を全部もっている人がいたとしたら…あなたはどう思いますか？
素晴らしいと思いますか？ 羨ましいと思いますか？
もしこのような人がいたとしたら、私はこの人のことをスーパージェネラリストだと思います。キャリアアップと聞くとすぐに資格・認定と考えてしまいますが、これは大きな間違いです。転職サイトの解説に、資格・認定があれば転職に有利！、年収アップ！のような内容が飾られていますが、それに踊らされないでください。目先の利益にばかりとらわれていると、最終的に本質（将来像）を見落としてしまいます。前回まで、キャリアデザインしていく姿勢について述べてきましたが、今回はさらに踏み込んで、診療放射線技師として目指すべき将来像についてお話したいと思います。
診療放射線技師のキャリア開発の目標の中で、「個々の診療放射線技師は、質の高い放射線技術を継続的に提供できるように知識，技術，姿勢を身に着けることである」と書きました。そのためにみなさんは、いろいろな勉強会や講習会に参加したり、魅力的なタイトルの書籍を購入して知識や知見を広げるために時間を惜しまず勉強されていると思います。しかし、それだけでは残念ながらジェネラリストから先に進むことはできません。
診療放射線技師の免許をとって、社会人になったら、受験勉強のような勉強方法からは卒業しましょう。資格や認定をとることを目標にするようなキャリアデザインは今日からやめてください。たぶんみなさんは、目標にしている資格や認定を取得したら、その日から勉強をしないはずです。そのような勉強になんの意味があるのでしょう。みなさんは子供のころから教科書を使って学んできました。学習した内容は、先人たちが何年、何十年と時間をかけてたどり着いた事実や法則です。それをほんの数秒で自身の知識として吸収してきました。みなさんがしてきたことは、他人が耕した畑でできたものを収穫しているだけにすぎません。この先もずっと他人の畑でできたものを収穫するだけでいいのでしょうか？
学生から社会人になったら、次はあなたが生産者になってください。他人の畑でできたものを収穫だけしていることを恥ずかしいと感じてください。ずっと収穫してきたのですから、今度はあなたが社会に恩返しする番です。育てる作物はなんでもいいのです。あなたの得意なことを活かして下さい。まずは身近な人にあなたの畑をみにきてもらいましょう。そしてお互いに議論すれば、今より新しいものができたり、大きく実ったりして多くの人があなたの畑に訪れることでしょう。
診療放射線技師でいる限り知識は積み重ねです。何か始めたら受験勉強のように終わるのではなく、積み重ねて継続してください。そうして獲得した知識は今後の技術として生かされ利用されます。積み重ねた知識で、あなた自身がどのようなことで社会に貢献できるか、一度考えてみてはいかかでしょうか。
放射線技師.com
