2025年4月に開催された「ITEM2025 国際医用画像総合展」では、MRI・CT・超音波・X線・核医学・AI画像診断・画像解析ソフト・PACSなど、幅広い分野で最先端の医用画像技術が紹介されました。今年の展示は「誰もが質の高い医療を享受できる未来」へ向けた提案が多く、持続可能性や効率化、そしてAIとの融合が際立ちました。

ヘリウムフリーMRIとAIによる高画質化

磁石冷却に液体ヘリウムを使用しない「ヘリウムフリーMRI」が各社から登場。設置自由度の向上と環境負荷低減を実現しつつ、AIによるスキャン自動化や画像再構成技術により、高速・高精細な画像撮影が可能となりました。

CT装置は立位撮影やフォトンカウンティングへ進化

CTでは、世界初の立位・座位撮影が可能なCT装置や、フォトンカウンティング方式を採用した次世代型が登場。従来の画像精度を大幅に上回る情報取得や、設置性の高い構造が注目されました。

超音波装置の小型化とAI対応

超音波診断装置は、高画質を保ちつつ小型・軽量化が進みました。AIによる自動計測、ポケットサイズの超音波装置、スマートデバイス連携など、検査の効率と可搬性が大幅に向上しています。

移動型X線・マンモグラフィの進化

移動型X線撮影装置は、副モニタやカメラナビゲーションを搭載し、病室や災害現場でも高精度なポジショニングが可能に。マンモグラフィでは3Dトモシンセシスの導入が進み、短時間・高画質の乳がん検診が現実のものとなっています。

血管撮影・手術支援における音声操作と画像処理

血管撮影装置では、音声認識による操作やAIによるリアルタイム画像処理が導入され、術中の操作負担を軽減。手術ナビゲーションやコンソール支援といった精密医療を支えるソリューションも進化しています。

AI読影支援・PACS・遠隔医療の統合化

AIを活用した読影支援ソフトや自動レポート生成、自然言語処理による所見の構造化が進展。さらに、病院外と接続できるPACSやスマホと連携したデジタルヘルスも登場し、地域格差のない医療提供が可能に近づいています。

今後の展望

ITEM2025を通じて、医用画像技術は「スマートでやさしく、そして繋がる」方向へ進んでいることが明確になりました。装置の高性能化だけでなく、AIと人が協働する診療体制、地域医療や遠隔診療の充実、医療経営への貢献といった多方面での革新が期待されます。