今回は放射線検査受付ロボットのお話です。
現在、どこの施設でも放射線検査には受付窓口があり、受付担当者が患者さんの受付および検査の予約、説明、誘導などをおこなっていると思います。受付の人材を豊富に確保することが可能なご施設であれば、あまり問題にはならないでしょうが、受付の人出が不足しているご施設では、受付担当者不在時は、診療放射線技師がその業務を担っていることもあると思います。
また、大病院でも、スタッフの急な休みなどの人出不足の中、緊急のポータブル、手術室などの呼び出しが重なって、受付と撮影を技師1人で行わなければならないこともあります。そのような中、受付業務の負担を少しでも少なくするために、自動受付機を導入する病院がでてきました。
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自動受付機
放射線検査の一般的な自動受付機は、診察券を自動受付機に挿入して受付するシステムだと思います。入院患者さんの場合は、ネームバンドのバーコードを読み込んで受付できる自動受付機をお持ちのご施設もあるかもしれません。いずれにしても自動受付機は、初めての方やご年配の方、機械が苦手な方は敬遠しがちなシステムで、その方々に対応するために有人受付が1名以上必要となるので、残念ながら、受付を自動受付機だけにして、完全無人化することはできません。
受付ロボット
さて最近では、自動受付機にロボットを用いたロボット型自動受付機を導入する企業が増えてきました。なかでも自動受付ロボットといえば、長崎のハウステンボス「変なホテル」が有名です。このホテルでは、3体の受付ロボットがチェックイン・アウトの業務を行い、ポーターロボットが荷物を部屋まで運んでくれますw。その他にコンシェルジュやクロークなどもロボットが担当しています。
さらに受付ロボットは、ホテルだけでなく、銀行の受付、接客やプレゼンテーションなどにも進出し、様々な業種や用途で利用され始めました。そのような中で、今もっともホットなロボットといえばソフトバンクが開発したPepper(ペッパー)くんではないでしょうか。このPepperくんは、同社から20万くらいで販売されており、ソフトバンクのホームページから、Pepperくんの働いている姿をみることができます。
同ホームページでPepperくんは、
’人を配置したかった場所でPepperがお手伝い
Pepperは、センサーで感知したデータを元に自律的に動くことのできるロボットです。
デジタルサイネージやタブレット等の各種IT機器で実現されてきた均質性に加えて、人とのインタラクティブなコミュニケーションが実現できることにより、まるで社員を常時配置したかのような豊かな接客体験を提供できます。’と紹介されています。
圧倒的な存在感
では、医療にこのような接客型・受付ロボットを導入する利点はあるのでしょうか?
受付ロボットと先に紹介した自動受付機の違いは、やはり圧倒的な存在感にあると思います。ロボットは、人が近づくと話しかけ、身振り手振りで動く姿は、強烈に人を惹きつけます。従来の自動受付機でも、モニターや音を使って、注意を向けさせるような機能がありますが、人を持続的に惹きつけることは難しく、従来の自動受付機では実現できませんでした。
このロボットの人を惹きつける能力、圧倒的な存在感や情報伝達能力は、ロボットを導入するメリットであり、我々の医療業界でも強力な武器になります。なぜなら、患者さんに治療や検査を受けて頂く上で、検査のことをしっかりと注意して聞いて頂きたいことがたくさんあるからです。特に放射線関連の検査では、患者さんの協力なくして良い検査はできません。通常は、検査待合室に検査の注意事項を説明する動画をモニターで流したり、壁に張り紙をしたりしていますが、これをロボットが説明すれば、人が説明するのと同等の効果が得られる可能性があります。
そしてロボットには、人材育成する必要がなく、安定したサービスを提供できるという利点があります。常に一定の技術を維持することができるということは、医療サービスを行う上で頼りになります。
その他、Pepperくんを導入することによる利点および効果については、ソフトバンクのホームページの中で、Pepperくんの法人向けモデルの導入事例が多数紹介されています。
問題点
次に、放射線検査受付をロボットにした場合の問題点を考えてみます。
やはり、病院では様々な障害や疾患をお持ちの方が来られ、そもそも機械が苦手な方もいらっしゃるので、受付人員をゼロにすることはできません。
また、ロボットは機械ですから、故障や耐久性の問題があります。Pepperくんの故障の頻度はわかりませんが、故障したときのリカバリーは導入前に考えておく必要があります。
さらに、ロボットは人と対話ができるといっても、それは想定された範囲内での動作です。患者さんの表情や状態、話し方や感情に合わせて対応を変えることは難しく、ときに患者さんの機嫌を損なう可能性があります。
導入事例
ソフトバンクのホームページでは、導入事例として、実際にPepperくんを導入した医療機関が紹介されています。ここでは、Pepperくんが乳がん検診の啓発活動を行っています。その結果、医師による健診結果報告の時間が1日当たり30分削減されたということです。また、超音波検査件数が導入前と比較し約3倍増えたということです。
マンモグラフィーと超音波両方の検査を受けた方が、マンモグラフィーのみ受診した人に比べ、乳がんの発見率が1.5倍高くなるという研究結果などを画像を使ってPepperくんがプレゼンテーションしているそうです。
Pepperくん関連会社一覧
放射線技師.com