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人はなぜ同じ所に長くいると、必ずつまらないこと(組織にとって良くないこと)を考え始めるのでしょうか?

業務に慣れてくると基準(ノルマ)が上がり、気がつけばその技師たちでなければ検査が停滞するようになる。

造影CT検査が慣れてくると、造影剤の注入時間を待つのが面倒になり、パイロットスキャンの前に造影剤を入れ始める…

X線検査で忙しくて検像が面倒になって自動転送にしてしまう…

照射野を絞らずにトリミングを多用するようになる…

その時はよいアイデアだと思って採用したことが、後に自分たちの首を締める結果になっている…
やり始めたからもう後戻りできない…

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効率化の問題点

 人は仕事に慣れてくると、その仕事の重要なポイントを理解し、重要なポイントに優先順位をつけ始めます。仕事の効率だけに焦点を当てると、優先順位をつけることは良いことですが、仕事が忙しくなると、人はその優先順位を使って、優先順位の低い仕事からエエ加減になっていきます。

そして、気がつけばルーチン検査がとんでもない数になっている…
自分たち以外では検査ができなくなっている…
スタッフが異動して新人が入ってきたら、業務が時間内に終わらなくなっている…

これらは長くいることによる弊害です。

仕事に慣れる→仕事の効率化→自分だけしかできない仕事が増える→その人がいなくなると検査が滞る→異動できない

無理に異動すると組織の技術レベルが著しく落ちる…

こうなってしまう原因はなんなのか?

それは、効率化する前に将来起こり得る結果を考えていないからです。

技術スキルの組織化

 一個人ができているそのノウハウを組織が吸収して蓄えていくシステムがなければ、目先の解決だけに囚われて、最終的に組織には何も残りません。一人ができていたとしても、その他ができていなければ、その場は凌いだとしても、組織として抜本的な問題解決にはなりません。

技術スキルの向上維持は、個人でするべきものではなく、病院(組織)としてするべきもの。

組織が個々の知識や技術を継続して蓄えていけるようなシステムを備えていれば、個人の技術スキルに左右されることもなく、組織として継続して発展していくことが可能になります。

教育にかける時間

 新人や経験の浅い技師ほど、技術の習得には時間がかかり、ベテランやスペシャリストほど仕事を覚えることは、新人技師より格段に早いはずです。何故なら、モダリティが変わっても、放射線技術に関わる基本的な流れや知識は変わらず、経験則から応用したり、置き換えたりすることによって学習することができるからです。

それにも関わらず、新しい技術を習得するときに、私は若い人より頭が固いとか、記憶力が昔より低下しているからなどの理由で新人と同じ時間、またはそれ以上の時間を要求する人は考えを改めてください。経験の浅い人は、すべてが新しいことであって、これから時間をかけて学ばなければなりません。その時間を奪うのはやめてください。

このことは研究でも同じことがいえます。つまり、論文の書き方や発表の仕方、スライドの構成や参考文献の調べ方、ものすごく時間がかかりますが、一度習得してしまえば、どのようなモダリティになっても考え方や研究の進め方は変わりません。

主任の仕事はマネージメント

 主任の主な仕事はマネージメントです。部下に気持よく働いてもらうための環境作りを第一に考えて気を配ります。

あなたが1番のプレイヤーになっている場合ではないのです!

あなたがプレイヤーとなり、認定資格に挑戦しスペシャリストとなって、あなたがいなければ回らないような職場環境を作っている場合ではないのです。マネージメントの技術は、モダリティに依存しません。どこでも使える技術です。

日常業務の人との関わりの中で、細かいルールは必ずできてしまいます。しかしこのとき、特定の個人がいなければ成り立たないルールは作ってはいけません。システムが脆弱であると細かいルールができてしまいます。とくに主任の在任期間が長いと、自分がいる間だけでもうまくいけばよいと問題を先送りにしてしまいます。主任の在任期間が短い方が、組織として効率的なシステムを模索します。

組織がレベルアップするためには、組織そのものが学ぶことができる環境作りが重要です。個人が習得した技術や知識を個人の技術や知識だけで終わらせずに、どのようにして組織に吸収させていくか、よく考えてみてください。

主任は半年で交代するくらいでいいでしょう。経験が浅い人ほど長くじっくり時間を与えてください。

 

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