放射線治療に関わる資格・認定は、医学物理士、放射線治療専門放射線技師、放射線治療品質管理士の3つがあり、治療を長く経験されている技師の中には、3つすべて所持されている方もいらっしゃいます。

どの資格・認定も治療を専門的に行うために必要となる知識、技能を備えていることが条件となりますが、3つそれぞれの資格・認定が独立して治療の特定の分野を担っているわけではなく、かなりの部分でオーバーラップしています。

そして、3つの資格・認定を取得するには試験を受ける必要があり、どれも難しく簡単には取得できません。

とくに医学物理士は、認定資格から国家資格に引き上げようという動きが活発化していることもあり、年々受験資格が厳しくなってきています。

また、この資格は最終的に診療放射線技師の上位資格に位置づけようというねらいがあり、それを阻止しようと日本診療放射線技師会が頑張っていますw。

もし、医学物理士が国家資格になった場合は、診療放射線技師の上位資格となり、現在診療放射線技師が検査・撮影とともに担っている被ばくや画質管理などのおいしいところだけ奪われ、診療放射線技師は、検査、撮影するだけの資格となり、その職域を大きく狭めることになる可能性があります。

まあ、この件は非常にデリケートな問題を抱えていますので、掘り下げるのはまたの機会にするとして、今回は、医学物理士をはじめ、治療に関わる資格認定についての概要をまとめました。

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医学物理士

概要

医学物理士とは、放射線医学における物理的および技術的課題の解決に先導的役割を担う者で、医学物理士認定機構が実施する医学物理士認定試験および認定審査に合格した者。

<業務内容>
放射線治療物理学分野:放射線治療における装置開発、物理的品質管理など、主として放射線治療計画の最適化と検証などを行っています。
放射線診断物理学分野:画像診断装置の開発、画質向上、被ばく線量と画質の管理などを行います。
核医学物理学分野:核医学における装置の開発、画質向上、被ばく線量と画質の管理などを行います。
放射線防護・安全管理学分野:放射線の害を最小限に抑えます。

医学物理士認定機構のホームページより抜粋

受験資格

受験資格は複雑で、常に最新の受験資格をチェックしてください。
本資格を目指すためには以下の4つの手段があります。

1.医学物理士認定機構が認定する医学物理教育コースを修了する。
2.理工学系の修士もしくは博士の学位を取得する。
3.放射線技術系の修士もしくは博士の学位を取得する。
4.1以外の医学物理教育コースで修士もしくは博士の学位を取得する。

医学物理士認定機構のホームページ”医学物理士を目指す方へ”より抜粋(2019年1月11日現在)

医学物理士になるためには、上記の機構が認定するコースを修了したり、修士や博士取得後、機構が定めた臨床研修、業績点が必要になります。

業績点は非常に細かく設定されていますので、しっかりとチェックしてくださいねw。

詳しくは、機構のホームページ、医学物理士認定制度規程をみてください。
2.医学物理士認定制度施行細則(2018.8.27改正)』です。(2019年1月11日現在)

医学物理士認定制度施行細則のページはこちら(外部リンク)>>

資格更新

1) 5年毎の更新 過去5年間の業績評価点の合計が60単位以上を有する。(医学物理⼠認定制度規程 第13条および同施⾏細則 第6条に該当する者)
2) 2年間の条件付き認定を受けた者過去2年間の業績評価点の合計が前回の不足分に24単位を加算した単位以上を有する。(施行細則第10条に該当する者)

医学物理士認定機構のホームページ”更新認定”より抜粋(2019年1月11日現在)

資格更新のために60単位以上必要とありますが、この基準をクリアするのは結構たいへんです!
講習会を受けるにしても1つや2つではありませんから、お金と時間がかかることは覚悟してください。

資格維持について、まずはご自身の勤務先の対応を確認されてから取得準備された方がよいでしょう。

医学物理士認定機構はこちら(外部リンク)>>

放射線治療専門放射線技師

概要

放射線治療専門放射線技師は、放射線治療専門放射線技師認定機構が、放射線治療に高い専門性を持つ診療放射線技師を診療・研修実績と試験による評価をおこない、合格者に対して放射線治療専門放射線技師として認定された技師です。

この認定は、放射線治療に対する専門性を統一的に評価するものであり、 専門領域における十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な放射線治療技術を提供できる診療放射線技師であることを示すものです。

放射線治療専門放射線技師認定機構のホームページより引用

受験資格

・診療放射線技師の免許を有すること
・通算 5 年以上放射線治療に関する診療業務を行っていること
・日本放射線腫瘍学会、日本放射線技術学会、日本診療放射線技師会のいずれかに、5年以上継続して会員籍を有していること
・申請時より過去5年以内に、別に定める認定単位(平成29年12月改定)を20単位以上取得していること
・その他、放射線治療に関する業績を有することが望ましい

放射線治療専門放射線技師認定機構のホームページより抜粋(2019年1月11日現在)

こちらは過去記事(放射線治療専門技師 認定試験対策 過去問 まとめ)にもさらに詳しく記載しています。

資格更新

・専門放射線技師の認定は、5年毎に更新(継続)可能。
・更新に必要な単位:20単位(認定単位表に従い算定)。

放射線治療専門放射線技師認定機構のホームページより引用(2019年1月11日現在)

放射線治療専門放射線技師認定機構はこちらから(外部リンク)>>

放射線治療品質管理士

放射線治療品質管理士は、以下の受験資格をみてもらえば分かりますが、医学物理士や放射線治療専門放射線技師の認定資格を一つまたは両方所持している人が対象となります。

概要

放射線治療品質管理士は、放射線治療の品質管理に関わる作業を自ら責任を持って行うとともに、品質管理の観点からの病院全体の業務の監督、連絡・指示の伝達周知、管理部門への改善措置の提案等を行うとともに、それぞれの現場での自主的な品質改善活動( 狭い意味での「品質管理」だけではなく、「放射線治療の質」自体の向上を目的とした幅広い活動)を行う。

<主な業務>
・ 放射線治療装置のQAプログラムの立案と実行
・ 放射線治療計画装置のQAプログラムの立案と実行
・ 治療計画システムに入力するデータ作成と指示と、すべてのコンピュータ線量測定計画のチェック
・ 実行するべきテスト、許容度とテスト頻度を含む治療計画の施設QAプログラムの決定
・ QAプログラムにより判明する矛盾や問題を理解して適切に対応する。
・ 治療装置・治療計画装置のQAプログラムの様々な側面で他の放射線治療品質管理に携わる者と協力
・ 機器導入に当たって放射線治療装置、計画装置の品質管理面からのプログラムの策定
・ 機器故障後の修理終了後の品質管理の立案と実行

放射線治療品質管理士制度第2条任務より抜粋(放射線治療の品質管理に関する委員会)

受験資格

放射線治療品質管理士の認定を申請するには以下の条件1と2を満たしていることが必要です。

1. 放射線治療の実務経験2年以上 且つ 治療品質管理*に1年以上従事した者
2. 下記のいずれかの資格を持つ者
(1) 日本医学物理士認定機構の「医学物理士」
(2) 日本放射線治療専門放射線技師認定機構の「放射線治療専門放射線技師」

*治療品質管理とは、「放射線治療品質管理士制度」に記載されている業務をいいます。

放射線治療品質管理士の認定希望者は、講習会を受講し、最後に試験を受験する必要があります。

放射線治療品質管理機構ホームページより抜粋(2019年1月11日現在)

資格更新

・3年後に更新。
・年1回所定の講習を受ける。

資格更新に必要な講習会には、次の2つのカテゴリーがあります。

カテゴリー1. 当機構が開催する資格更新に必要な講習会 (1単位)
カテゴリー2. 当機構を構成する団体等が開催し、当機構が認定した講習会

また、当機構を構成する団体等が開催し、当機構が認定した講習会を受講し、以下の条件を満たす必要があります。

1. 更新までの3年間にカテゴリー1の講習会を最低1回受講すること
2. カテゴリー1の講習会とカテゴリー2の講習会を合わせて毎年1単位受講すること

放射線治療品質管理機構ホームページより抜粋(2019年1月11日現在)

なんだ、たった1単位かと思った方、講習会によっては0.2や0.5単位と1単位未満の講習会もあるので注意が必要ですw。

放射線治療品質管理機構について詳しくはこちら(外部リンク)>>

まとめ

放射線治療に関わる資格・認定についてまとめました。

医学物理士は、まだ認定資格の段階で国家資格ではなく、認定をとった後も5年ごとに更新する必要があります。更新には研究発表や講習会などに参加して、更新に必要な単位を取得しなければなりません。

放射線治療専門放射線技師も認定資格取得には、認定単位が必要になり、更新は医学物理士と同様に研究発表や講習会などに参加して、更新に必要な単位を取得しなければなりません。

そして、放射線治療品質管理士は、そもそも医学物理士または放射線治療専門技師の認定者でなければ取得できません。

どの認定資格も簡単にとれるものではありませんし、時間がかかり更新するのも大変です。取得には相当な覚悟が必要になりますので、ご自身の将来的なビジョンをしっかりと見据えてから資格取得に臨んでください。

 

放射線技師.com

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