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われわれ診療放射線技師の世界は、最近、マンモや救急、CT、MRIなどなど資格認定制度で盛り上がっていますよね。

しかし、技師の学術的な活動は今の資格認定制度ができるずっとずっと前から活発に行われてきました。

技師が書いた初期の頃の論文をみたことがありますか?

初期の頃の論文は日本放射線技術学会のバックナンバーから閲覧することができますが、その頃の論文というのは、レポート?といった方がよいようなものが多く、他の学術団体のやり方を見よう見まねで始めていたように思います。

そもそも昔、技師は写真をまともに撮ることさえも苦労していた時代、まさに職人のような世界から始まって、技術は盗むものであって、先輩からはそう簡単に撮影のコツを教えてもらえませんでした。

職人気質の強い技師の世界で、どのようにして凡人技師にもまともな写真を撮らせるか、撮影補助具の開発や自動露出機能、自動現像機などの開発によって、誰が撮っても簡便に素早く確実に写真を提供できる環境を目指して放射線技術学という学問が生まれ、今日まで発展してきました。

そうなんです。先人たちのおかげで放射線技術学という世界では稀な学問が日本には存在しています。日本にいるとわかりませんが、一歩世界にでると日本の診療放射線技師が世界の技師と違うということがよくわかります。我々日本の技師と世界の技師との一番大きな違いは、仕事(検査)をしながら研究活動していることです。これはなかなかできることではありません。だから日本の技師は強いんです!

しかし、やはり研究しているといっても、学会発表をするだけで満足している人が多いのも事実です。せっかくよいアイデアの研究をしていても、発表しただけでは、その場限りで終わってしまいます。研究は、研究成果を発表して終わりではなく、論文にまとめて公表するところまでやって完成です!

研究発表をするとき、旅行目的で安直に発表テーマを決めている人はいないと思いますが、発表テーマを決めたときに、その研究の学術的意義について考えたことはありますか?

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学術的意義とは何か

そもそも研究の学術的意義とはなんぞや?と思っている人もいると思います。

学術的意義とは分かりやすくいうと、あなたの研究の何が新しいのか(新規性)、どのように社会に役に立つのか(社会的貢献度)、それを満たすにふさわしい価値があるのかということです。

あなたの研究が社会にとって本当に必要なことなのか、必要ならば誰が必要としているのかをじっくりと考えてみましょう。学術的意義が明確になると、それを実現するための目的がはっきりと見えてきます。

研究を進めているときの実験結果の中で、どの結果が論文に掲載する必要があるのか、論文の中でどういう風に結果を表現すればよいかわからなくなるときがあります。このようになる原因は、研究の学術的意義を深く考えずに研究をしているからです。

もしこのような状況に陥ったときは、再度研究の学術的意義を考えてみてください。学術的意義がはっきりすると、論文の道筋もすっきりと見えてくるはずです。

論文を書き始める前に、他の人が書いた論文をみてみましょう。そして、その論文の学術的意義について考えてみてください。

・この論文の新しいことはなんだろう。

・著者は何が主張したいのだろう。

・どういう人に役に立つのだろう。

・これはどういう価値があるのだろう。

このようなことを常に意識していれば、論文を書くことはそんなに難しく感じないと思います。

 

放射線技師.com