小児やご年配の方の誤飲で異物の撮影依頼ってたまにきますよね。
電池やお金を飲んじゃったとか、薬のアルミシート(銀紙)を飲んじゃったとか、おもちゃなどなど様々ですが、
金属物なら単純X線画像で高輝度に写りますので、見逃すことはまずありません。
しかし外傷で、木片やガラス、プラスチックなどが刺さり、異物の残存を調べるための撮影がまれにきますが、はたして単純X線検査だけでわかるのでしょうか?
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単純X線検査は異物に有効?
先ほどお話したように、単純X線検査は金属の異物に対して非常に感度が高い検査です。小児がよく誤飲するボタン電池やお金は体内にあれば見逃すことはまずありません。しかし、単純X線検査は、木片に対して相性があまりよくありません。
2010年に手の異物残存(木の枝)を初診時に見逃した症例報告があります。これは患者さんが外傷時、酩酊状態で問診が満足にできず、医師が観察する限り異物は確認できず、X線検査でも異物を発見できませんでした。
なんと! 木の枝の長さが6cmもあったのに、X線画像には写らなかったのです!
異物残存をX線検査でどのくらい見逃してしまうかですが、それを調べた論文があります。
その論文によると、異物の70%は救急室で取り除くことができます。そして、200例の患者うち、38%の患者さんが初診時に異物を見逃されてしまっています。その理由は、異物がX線画像に写らなかったためです。X線検査で金属異物の見逃しはゼロでした。しかし、ガラスは96%、
木片は、わずか15%しか検出できませんでした。
異物=X線検査という考えが先行していて、異物のときはX線検査となりますが、金属以外の物質でできたものは、写っていないから残存がないとはいえないことを知っておいてください。
・参考文献
中原麻理, 二ノ宮邦稔, 増澤源造. “酩酊時外傷後, 挫創内に異物が残存した 1 例 (症例報告).” (2010).
割り箸の先をCTで発見できた事例
かつて男児が転倒時に割り箸を喉に突き刺し、のちに死亡した事件がありました。
これと同様の患者が救急搬送され、入念に調べた結果、残存する異物を発見し取り除くことができたという報告があります。
この報告では、やはり単純X線検査では異物は認められず、CTでも横断画像では異物を発見できませんでした。
この症例では、医師が直視下で異物を発見していますが、のちにCTのMPRで画像を再確認したところ、異物が認められたそうです。
・参考文献
かつて社会問題になった「割り箸事件」と同様の患者が救急搬入!もし脳に折れた箸が残っていたら!?
異物の検査は超音波USが有効?
異物に対して、その他の検査、MRIや超音波USはどうでしょうか?
それを調べた論文があります。
この論文では、単純X線検査は木片を検出できませんでした。
そして、MRI検査では、木片はT1強調画像およびT2強調画像の両方において、骨格筋と同等またはそれ以下の信号強度を示しました。さらに、全症例で炎症性病変として画像に認められたそうです。
CT検査でも、木片は検出できており、超音波US検査では、木片は高エコーとして検出できることを明らかにしています。
木片異物の検出に対しては、検査の簡便性に鑑みて、超音波US検査が有効な手段の一つであるといえそうです。
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