a43ea6586203855584bb1fcd94cfab0f_sまたあの部署か…人事に求人募集をお願いしないといけない…もう何人目だろう…

離職率は、ある時点で仕事に就いていた労働者が、一定期間のうちに、どれくらいの人がその仕事を離れたかを比率として表わす指標です。この指標は、業種によって大きくことなり、ある特定の業種の離職率の高さは、その業界や会社の問題といえますが、ある特定の部署だけ離職率が高いとなると、原因は必ずその部署に潜んでいます。

診療放射線技師の職場は、医療現場という特殊性から、離職率の問題に対して、何か特別なものが要因として潜んでいるのではないかと思われがちですが、決してそのようなことはなく、診療放射線技師の離職率問題の大半は、一般社会で問題になっていることと大きな違いはありません。まずは、一般社会で問題となっている原因をあげ、次に診療放射線技師という職場環境特有の問題を紹介し、最後に予防策を提案します。

離職の理由からみえるもの

リクナビNXETが転職経験者100人に退職理由を調査した退職理由のホンネランキング

1位 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった
2位 労働時間・環境が不満だった
3位 同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった
4位 給与が低かった
5位 仕事内容が面白くなかった
6位 社長がワンマンだった
7位 社風が合わなかった
7位 会社の経営方針・経営状況が変化した
7位 キャリアアップしたかった
10位 昇進・評価が不満だった

このランキングからみえてくる共通点は、すべて”入社前に想像していたことと違った”ということです。では、なぜそのようなことになったのか? 今の若者に根性がなくなったから…ゆとり世代と社会のギャップ…様々な憶測が飛び交いながらも、全く解決の糸口がみえてこない現状に些か閉口しているのではないでしょうか。

はじめから辞めようと思って入社してくる人はいません。入社前は皆、期待に胸を膨らませ、夢と希望を抱いています。しかし、離職する人は、入ってからの仕事や職場環境、雰囲気のギャップに戸惑い、こんなはずじゃなかったと落胆しています。そもそも面接のとき、説明会や見学会のときに仕事内容のこと、職場の環境、雰囲気を正確に伝えていますか? もっと踏み込んでいうと、あなた自身が職場のことを”客観的にみる”ということができていますか?

悪しき習慣に潜む罠

NTTレゾナントが運営する「gooリサーチ」が全国の男女1070人を対象に調査した「日本の会社の悪しき習慣ランキング」

1位 サービス残業が当たり前
2位 有給休暇が取りづらい
3位 社員の育児休業取得に積極的ではない
4位 忘年会や新年会は絶対参加
5位 上司から飲みに誘われても断りづらい
6位 上司より先に帰宅しづらい
7位 社員旅行に強制参加
8位 年功序列
9位 暖房・冷房の極端な温度設定による作業効率の低下
10位 お茶だし当番がある

あなたの職場では、このランキングの項目の中で、いくつ当てはまっていましたか? この悪しき習慣ランキングの項目は、離職率の高い職場の原因と密接に関係しています。問題は、職場のトップのあなたに自覚がないことです。始業時間よりもやたらと早く部下が出社している。何をしているかわからない、または今やる必要のない仕事をやって帰ろうとしない。これらは、職場の雰囲気によって形成されたみえない圧力で、自然と部下に強制していることもあります。

悪しき習慣ランキングのトップスリーは、若い世代や女性にとっては、将来働きながら子育てをするというビジョンが持てず、将来に対する閉塞感から大きなストレスを感じます。先輩後輩の縦社会。何気ない自分の行動や感情の変化が部下を苦しめる。人間だから…といって、いうこととやっていることが違う。理想論を押し付ける。研修だからと平気でサビ残させる。自身のことを有能だと思い込んでいる人ほど、改めて考えてほしい内容です。

個人のスキルに依存した業務内容

スペシャリストにしかできないような仕事は、可能な限り業務内容に組み込まないようにするべきです。つまり、スペシャリストの仕事と業務は明確に分ける必要があります。その人にしかできないような業務があると、その人に頼ることになり、その人がいなくなると業務が回らなくなります。

また、自分でいろいろ考えて、業務を改善し、仕事にやりがいを見出す人は、仕事で頼りになる存在ですが、改善した業務内容を共有するシステムを構築して、業務をうまくコントロールしないと、先ほどと同じように、その人がいなくなると業務が回らなくなっていきます。

そして、何十年もその部署に配属されている技師は、技術面で頼りになる存在ですが、大半の技師はマネージメントの教育を受けていないので、ときに高圧的な職場の雰囲気を形成することがあるので要注意です。

カウンセリングの重要性

 仕事が忙しくなってくると、目先のことだけに精一杯労力を費やし、周りが見えなくなって、どんどん疲弊していってしまいます。疲れていても、なかなか寝付けない。めまいや耳鳴りがする。重い肩こりや偏頭痛が始まったなどは、慢性的な緊張感、ストレスが原因の可能性が高いと考えられます。そのまま放置していると、手足がシビレたり、極度の疲労感などに襲われ、最終的には、働くことが困難な状況に陥ります。自覚症状があったとしても、自分からはなかなか言い出せないような職場環境では、離職率の改善は期待できません。

”こんなはずじゃなかった”といわれる前に、定期的な面談(カウンセリング)をおこないましょう!

 

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