診療放射線技師に英語が必要か? 

 それはあなたが診療放射技師として、目標や将来像をどのように考えるかで異なります。ただ日常業務に携わるだけであれば、ほとんど英語を必要とすることはありません。将来的に、ジェネラリストとして放射線業務をするだけであれば、英語しか理解できない患者さんが検査に来ない限り、英語の必要性を感じないでしょう。しかし、診療放射線技師として資格をとってから、スペシャリストまでスキルアップしていくことを目標にするのであれば、英語は避けて通れません。

 ここで用いているジェネラリストという表現は、標準的な放射線の知識や技術を多方面あるいは広範囲に発揮する人のことを指し、スペシャリストとは、特定の分野において、特別な知識や技術を備えているもののことを指します。ある職業団体が行った、診療放射線技師の雇用者に対する意識調査によると、診療放射線技師の最も多い社会的ニーズは、ジェネラリストであることが最低条件で、その上でスペシャリストであるということが求められているという結果がでています。

なぜスペシャリストには英語が求められるのでしょうか?

 一度でも学会に参加された方だとお気付きかと思いますが、学会で取り上げられている演題や講演は、現在最も注目されている内容であり、それらは自施設において、今後必要とされる技術になる可能性が極めて高いものだといえます。そして、最近の学会の流れとして、スライドは英語で作成し、スピーチも可能な限り英語を使用することが求められています。これは、日本人が行っている学会の活動や研究内容を海外に向けて発信し、アピールするためには重要なことであり、国内だけでなく、海外の研究者や診療放射線技師に学会へ参加して頂き、放射線技術について国際的なステージで活発に議論していくためには、必要なことです。したがって、ご自分で発案された技術的内容が有用であり、より多くの人にその内容を知って頂くには、英語で発表したり、論文を英語で書く必要があります。

 また、スペシャリストとして日常の検査や治療において、常に最新情報を収集し、知識を更新、今後の動向を把握するためには、英語で書かれた情報を収集する以外に方法はありません。教科書に記載されている内容は、現在標準とされている放射線技術であって、最新の情報ではありません。ジェネラリストになってから、自身のその先のキャリアを考えたとき、どのモダリティにおいても、最新情報は海外雑誌や論文から収集する必要があることに気付くと思います。

 スペシャリストとして活動していく頃になると、海外の診療放射線技師や研究者とディスカッションする機会が多くなります。日本の放射線技術の良いところ、悪いところ、海外の診療放射線事情と比較しながら、あなたの考える理想の診療放射線技師像はよりいっそう洗練されていきます。それは非常に刺激的で、あなたのキャリアアップの新しい目標になることでしょう。

 

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